2016年3月28日月曜日

誰のための「統一テスト」?

文部科学省の有識者会議で、2020年度から実施される新テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」についての最終報告がまとめられ、概要が発表されました。
大まかな内容は、

①2020~2023年度入試(2016年4月に中学二年生になる人以降)では「記号選択式」の他、「短文記述式」を国語と数学で導入。

②2024年度入試以降(2016年4月に小学四年生になる人以降)ではコンピューターを使った選択式の出題と解答」と「長文記述式」を導入

③選択式は1点刻み評価、記述式では段階別評価

④複数回実施は見送り

となっています。

そもそも統一テストは、「共通一次試験」としてスタートしました。当時、統一テストの目的としてあげられていたのは「国公立大学の二段階選抜」でした。
当時、東京大学など難関大学を目指す人は浪人する人が多く、中には五浪・六浪なんて人も・・・
統一テストは、いわば、「本番を受ける前に諦めさせる」テストであったといえます。

少子化が進んだ現在はどうでしょう。もちろん、志望校合格を目指して浪人する人はいなくはなりません。統一テストがあろうがなかろうが、それは変わらないのです。
それをある程度変えるには、つまり、「アメリカ型の大学制度」へ変更するには、ペーパーテスト中心の大学入試制度を根本から変える必要がありますし、そもそも各大学の個別入試制度を見直すべきであり、統一テストになんの意味があるのでしょうか。(現に東大・京大はAO試験を導入しました。)

独立法人大学入試センターのホームページに、センター試験の目的が書いてあります。
大学入試センター試験は、大学(短期大学を含む。以下同じ。)に入学を志願する者の高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的とするものであり、国公私立の大学が、それぞれの判断と創意工夫に基づき適切に利用することにより、大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等を多面的に判定することに資するために実施するものです。
「高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定する」のは、高等学校の役目です。何のために評定があるのでしょうか。独立法人がする仕事ではありません。

はっきり言ってしまうと、もうすでに大学入試センターの役目は終わったのです。これからは日本の大学制度そのものを見直す段階に来たということでしょう。見直した結果、今のままがいいというのであれば変える必要はないでしょう。

どちらにしても、利権の温床になる前に(もうなっているかもしれませんが)、大学入試センターを廃止するべきだと私は考えています。

2016年3月23日水曜日

早咲きの桜

西宮市にある廣田神社の周辺は、散策道になっていて、そろそろコバノミツバツツジが咲き始めています。
その中に、もうこの時期に咲いている桜の木がありました。(3/20撮影)

一言で「サクラ」といっても、実際にはかなりの種類が存在していますが、日本人がイメージする「サクラ」は、やはりソメイヨシノになるのでしょうか。

写真の桜がどういう種類のものなのかわかりませんが、随分と立派に咲いていて、ちょうど公立高校と国公立大学後期試験の合格発表の時期でしたので、感慨深く思われました。

ちなみに、日本はおろか世界にあるソメイヨシノはすべて、江戸時代末期ごろに、エドヒガンとオオシマザクラの交配から生まれた僅かな原木から、接ぎ木によって増えたものだそうです。

DNAの構成上の問題で、ソメイヨシノについた種子は「ソメイヨシノ」ではないので、接ぎ木でしか増やすことができないそうです。
「?」な感じですが、高校で「生物基礎」の「遺伝 ヘテロ接合の自家受精」を習うと謎が解けます。

そういえば「接ぎ木」も、高校生物で習う「無性生殖」の一種で、いわば「クローン」です。ほとんど同じDNAを持っているがゆえに、ほぼ同時期にソメイヨシノは咲くのです。わかっていても、なんだか不思議ですね。

高校で習う「生物基礎」「生物」には、このように身近なものに関係している知識がたくさんあります。それを「定期テストのためにだけ覚える」なんてもったいない!
ぜひ、身近なものに当てはめて、「不思議」をいろいろ発見してみてください。

2016年3月16日水曜日

入試と人工知能

 2020年度入試からセンター試験に替わって新しい入試が導入されることが決定しています。思考力を検査するため記述・論述形式の解答が求められるとのことですが、それと同時に出てくる問題が「採点方法」です。

 ある一定の採点基準が設けられての採点となりますが、毎年何十万人という高校生が受験するテストですから、もちろん一人で採点するわけには行きません。かといって複数の人間による採点では、どうしても判断に誤差が生じてきます。そこで今検討されているのが「人工知能(AI)」による採点なのだそうです。

 「そんなことができるのか」と一瞬思ってしまうのですが、先日、知能ゲームにおける人類最後の砦「囲碁」において世界トップレベルの棋士がコンピューターに敗北するというニュースがありました。もう人工知能のレベルはそこまで来たのかと思わずにはいられません。


 新しい統一入試最終的にどのような採点方法が採られるのかはまだわかりませんが、将来、「人工知能の採点傾向を分析する」などという入試対策講座も、予備校でおこなわれるのでしょうか。人間がコンピューターを追いかける時代がもう来てしまったようです。